漫画・アニメ・書評から日常の愚痴まで、思いつくままの日記です。
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村山由佳「星々の舟」
ある一家族、それぞれを主人公にした短編集です。
家を飛び出した離婚間近の次男、
30過ぎ独身のまま働く次女、
家に残る長女、
ただ一人妻と子と生活を送る長男、
その長男の高校生にる長女、
そして70過ぎて妻に先立たれた父。
父の後妻が臨終で、次男が久々に帰省するところから物語が動き出します。
誰もが痛みを抱えて、それでも家族として生きていく。

そのうちの誰かに、きっと自分を重ねることができるのでは。


続きにはネタバレの感想が。
心に残った言葉①
「幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない」

私は女なので長男の心理だけはいまいちしっくり無かったのですが。
30過ぎで不安を抱きながらも不倫に走る次女の心理や、10代のならではの繊細な孫娘の心情はどこか心に迫ります。
そして何より再婚の連れ後同士の禁断の関係に陥った次男と長女のそれぞれの心理が、生々しいながらも切なくて、一生半分は御互いの中にあるのかと……。
最後に父親にどかんときました。戦争から復員した世代です。ヒトを、子供まで殺さねばならなかったとき。従軍慰安婦への思い。浚われて、一日に何十人も相手をさせられて、劣悪な環境で死んでいく。時には子供でさえ……女としてやはりきつい。あの戦争がいかにヒトを狂わせたか、当事者でないとわからない心理が、あるのかもしれない。

映画「ゆきゆきて神軍」というドキュメンタリー映画があります。戦争から帰り「天皇人間宣言」を受けて、自分達にあれだけのことをさせた天皇に是が非でも責任をとらせようとたった一人で抗議活動を続けていく老人のドキュメンタリー。激しい口調で時には証言を拒む人に殴りかかり、何度も刑務所に入りながらも、彼は止まりませんでした。黙々とそれに従い、弁当を差し入れる奥様の姿も、目に痛かったです。映画の最後には刑務所にいる間に奥様が亡くなられたと一文。

「星々の舟」の父と二人の妻の関係に、この映画の老夫婦を思い出しました。

「ほんとうに国を憂いていたというのなら、この国が今、なしくずし的に再び戦争のできる国へ変わっていこうとしているこの時に、なぜもう一度立ち上がって声をあげようとしないのだ、ばかどもめが」
「かつて自分がしてきたことが間違いだったなどと認めるのは、人生を否定されるようなものだ、誰だって恐ろしい」
「許されるのを前提に謝ることを、侘びとはいわない」
「そう、……どんな詫び状も、死者には届かない」

「そういう時代では、と咄嗟に口にしかけて、重之はそれを呑みこんだ。
<そうだな>ようやくの思いで言った。<本当に、そうだ>
あんたらは、頼む。ちゃんと声をあげてくれ。
……そうとしか、言えなかった。」
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